地域と連携した訓練は、次の日が良いでしょう。9月1日は防災の日、11月5日は津波防災の日、世界津波の日であり、各地で緊急地震速報が鳴りました。同様に6月(今年は20日)にも訓練があります。その中で、シェイクアウト訓練という地震発生直後の訓練も実施されました。
訓練に適した日は?
政府が定めている防災関連の日は、以下になります。
(1)9月1日 「防災の日」。
関東大震災にちなんで、「防災の日」になっており、全国各地で防災訓練が実施されます。この前後1週間が、防災週間になっています。
(2)11月5日 「津波防災の日」、「世界津波の日」。
1854年12月23日9時頃、「安政東海地震」が発生。そして約32時間後の1854年12月24日(新暦。旧暦で11月5日)17時頃、「安政南海地震」が発生しました。この「安静南海地震」のときに、今の和歌山県広川町で濱口梧陵が稲むら(稲の束を重ねたもの)に火を付け、住民の避難を助けた実話である「稲むらの火」が伝承されています。
2011年、東日本大震災の教訓から、この「安政南海地震」の11月5日を「津波防災の日」と決めました。2015年、国連総会で11月5日を「世界津波の日」と決めました。東日本大震災の3月11日は追悼の日として捉え、津波避難の逸話である「稲むらの日」にちなんで、「津波防災の日」、「世界津波の日」が決められました。
(3)6月
特に記念日ではないが、6月にも避難訓練が実施されます。下記参照。
緊急地震速報
大きな地震が発生した時に、気象庁が発出する緊急地震速報を各電話会社がスマホや携帯電話を鳴らす機能です。緊急地震速報は、スマホがマナーモードになっていても、鳴動します。実際にどのような音がするかは、下記の各通信会社のホームページで確認できます。
では、なぜ、緊急地震速報が有効なのでしょうか。
(1)地震の振動には2種類の振動があります。
地震波 | 速さ | 揺れの種類 |
P波(ぴーは) Primary | 早い 5~7km/秒 | 初動微動 |
S波(えすは) Secondary | 遅い 3~4km/秒 | 主要動 |
そのため、P波を早く検知し、通信等で知らせることで、本格的な揺れ(S波:主要動)が到達する前に警報が鳴らせるようになっています。この技術はスマホの緊急地震速報以外にも、電車の緊急停止などにも活用されています。ただし、震源の真上では、P波とS波の到着の間が短いため、本格的な揺れが緊急地震速報より先に揺れることがあります。
(2)地震計を海底も含め全国に設置されています。
下記の図にもあるように、全国1,690箇所に地震計が設置されており、この地震計の揺れを即時に判断して、緊急地震速報を出しています。全国約690箇所の気象庁の地震計・震度計に加え、国立研究開発法人 防災科学技術研究所の地震観測網(全国約1,000箇所)を利用しています。多くの観測点のデータを活用することで、地震が起きたことを素早くとらえることができます。また、四国から九州沖に海底地震計がない部分については、2024年7月から新しく南海トラフ海底地震津波観測網が試験運用を開始し、今年度末には整備を完了する予定です。
シェイクアウト訓練
皆様は、シェイクアウト訓練という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
今回の「津波防災の日」でも、多くの地域で、シェイクアウト訓練が行われました。緊急地震速報が鳴ってから、強い地震の揺れが来るまでは、数秒から数十秒しかありません。その短時間で、自身の身を守るための行動を取ることが必要になります。そこで、アメリカで考案された訓練が、シェイクアウト訓練です。この訓練は3つのステップからできています。この3つの行動を実際に約1分間取るという簡単な訓練です。
(1)DORP! まずひくく。姿勢を低く
その場にひざまずく。
(2)COVER! あたまをまもり
机などのしたに潜り込む。
(3)HOLD ON! うごかない。揺れが収まるまでじっとする
揺れで体が机の下から飛び出さないように机の脚などにしがみつ。く
詳しくは、日本シェイクアウト提唱会議のホームページをご覧ください。
また、実際の行動は、平塚市の動画(約1分)で確認できます。
まとめ
今回は、11月5日の「津波防災の日」に、どのような訓練を行うかを解説しました。まずは、緊急地震速報について理解し、緊急地震速報がなったら即座にシェイクアウト訓練を行います。津波のリスクのある地域では、実際に避難を行うことが重要です。その時にできれば、地域住民と連携して避難訓練を行うことが良いと思います。また、9月1日「防災の日」に地震の訓練を行ったり、6月に緊急地震速報からシェイクアウト訓練を実施するのも良いかもしれません。